2017年3月にUPした記事「フラッシュストレージの種類・選び方まとめ」の続編です。
いつもなら、元記事に加筆・修正するのですが、文量が多くなりそうなので、あえて分けました。
目次
おさらい
メモリセル(記憶素子)
フラッシュメモリは、「セル」と呼ばれる記録素子に何bitのデータを記録できるかで種類が分けられます。
メモリセル | 記憶容量 | 情報量 | 特徴 | 書換目安 |
---|---|---|---|---|
SLC(シングル・レベル・セル) | 1bit | 2通り | 速度・耐久性が優れている | 10万回 |
MLC(マルチ・レベル・セル) | 2bit | 4通り | SLCよりコストパフォーマンスに優れる | 1万回 |
TLC(トリプル・レベル・セル) | 3bit | 8通り | コストを下げられるが、速度・耐久性で劣る | 3千回 |
QLC(クアッド・レベル・セル) | 4bit | 16通り | 大容量化に向くが、一番耐久性で劣る | 1千回? |
最近のトレンド
3D NAND
従来の"NAND(2D NAND)"は、回路の幅を小さくしてセルを集積することで容量を増やしていました。
新しい"3D NAND"は、回路を上に重ねていく(3次元化する)ことで集積度を更に高めることができる技術です。
これにより大容量化を実現することができます。
また、大容量になればウェアレベリングも効率的に行えるので(実際にはファームウェアの性能にもよりますが)寿命も伸ばせるようになります。
QLC
クアッド・レベル・セルは、1つのメモリセルに"4bit(16通り)"の情報を書き込めるNANDメモリです。
ここに来て3D NANDが実現されたことで、開発が活発になっています。
SSDはその性質上、大容量になればなるほどウェアレベリングが効率的に行えるので(実際にはファームウェアの性能にもよりますが)寿命も伸ばせるようになります。
また、シーゲートのArchive HDDシリーズのように、読み込み主体の用途であれば十分に活用できるでしょう。
基本的にメモリセルは、1つのメモリセルに書き込む情報量が多いほど、書き込みが低速になる傾向がありますが、読み出し速度はさほどに変わりません。
なお、大容量のモノのほうが一般的には高速です。
(大容量タイプの場合、コントローラが複数のメモリセルに同時に読み書きすることで速度を高める機能が備わっていることが多いため)。
まとめ
一概に耐久性を語ることは難しいですが、参考までに例を上げると以下のようになります。
※TBWだけが性能ではないので、あくまで「年月が課題を克服」しているんだ、ぐらいに判断してください
発売年 | メーカ | NAND | モデル | 容量 | TBW |
---|---|---|---|---|---|
2014 | SAMSUNG | Samsung 32 layer 3D V-NAND | 850Evo | 500GB-1TB | 150TB |
2016 | Crucial | Micron 3D TLC NAND | MX300 | 525GB | 160TB |
2016 | Crucial | Micron 3D TLC NAND | MX300 | 750GB | 220TB |
2016 | Crucial | Micron 3D TLC NAND | MX300 | 1TB | 360TB |
2016 | Crucial | Micron 3D TLC NAND | MX300 | 2TB | 400TB |
スペックだけで耐久性は語れませんが、コストを抑えつつ書き換え可能容量をUPできているのは導入への十分な後押しになると思います。