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DG-STK3
一時期流行ったスティックPCです。
CPUのベースクロック 1.33 GHz、メモリ 2GB + eMMC 32GB のミニマム設計です。
※巷にはストレージ 16GB の製品も存在しますが、Windows Update の時に非常に面倒なのでオススメはしません。
仕様
- Diginnos Stick DG-STK3(デジノス スティック DG-STK3)スティックパソコン(PC)
基本構成 OS Windows 10 Home 32ビット CPU (SoC) Intel Atom Processor Z3735F (2M Cache, up to 1.83 GHz) メモリ 2GB DDR3L ストレージ 32GB eMMC サイズ 約 112(W) x 36(D) x 11.5(H) mm
特徴
一番の特徴は、ファンレス構造です。
ただ、小型のスティックPCなのでファンレスだと排熱が追いつきません。
ファンレスの弊害で熱による問題が起きることは、以前「Diginnos DG-STK3」の熱対策という記事にしました。
- 79度を超えると、チップ保護のためクロックダウンする
元々 Atom Z3735F 搭載機なので、クロックダウンすると使い物になりません。 - 80度を超える
論外ですね。内蔵microSDスロットはカードをダメにするので使えません。
USBメモリも直挿しだと熱が伝播するので、HUBや延長コネクタ・ケーブル類をかませた方が無難です。
※microSDも安価になったので、ReadOnly&消えても大丈夫なデータなら良いかも...
レッツ、冷却!
で、以前「Diginnos DG-STK3」の熱対策という記事で DG-STK3 をブロックPCに仕立てました。
とはいうものの、持ち運びも考慮して再度改良することにしました。
普段持ち歩いているモバイルPCは Linux (Lubuntu) のため、Windows 機があると何かと便利です。
概要
DG-STK3 の 基盤〜排熱口までの階層構造を分かり易くまとめると以下のようになります。
階層構造 | 備考 |
---|---|
排熱口 | 外側は金属メッシュ、内側はスリット構造 |
放熱シート(金属板) | 苦肉の策です。いっそのこと全面メッシュにすれば良いのに |
ヒートシンク | |
熱伝導シート | メモリには熱伝導シートなし |
SoC, メモリ | |
基盤(マザーボード) |
画像上が「放熱シート(金属板)」、画像下の黒塗装のフィンが「ヒートシンク」です。
どうする?
ヒートシンク -> 排熱口 までに約3mmの隙間があります。
そこに熱伝導シートを入れて、ケース外に追加のヒートシンクを設置することにしました。
- 熱伝導シート
株式会社 親和産業 - SS-SG2M仕様 SS-SG2M 寸法 25x25x2(H)mm 熱伝導率 5.0W/m・K 使用温度範囲 -60~180℃ 数量 2枚入り -
放熱フィン
M.2 SSD 冷却用ヒートシンク
SilverStone Technology Co., Ltd.製品紹介:TP02-M2型番 SST-TP02-M2 熱伝導性 1.5W/m.k 動作温度 -20 °C ~ 180 °C 重量および寸法 ヒートシンク : 70mm (W) x 10mm (H) x 20mm (D),16.1g
ブルーパッド : 70mm (W) x 1mm (H) x 20mm (D), 3.25g
グレーパッド1 : 60mm(W) X 1mm(H) X 20mm(D), 2.8g
グレーパッド2 : 60mm(W) X 1.5mm(H) X 20mm(D),3.7g
設置
-
筐体の排熱口を繰り抜く
まず、ニッパーで筐体の排熱口を繰りぬいてみると、あろうことかヒートシンクとスリットの位置がいまいち合っていません。 -
熱伝導シートの確認
ヒートシンクを剥がすと、SoC には熱伝導シートが貼ってありますがメモリには貼付無しでした。
後で、外部ヒートシンクまで熱伝導シートを重ねるのにスペースが足りないので、スリットを広げているので、穴が丸くなっています。 -
熱伝導シートの貼り替え
ヒートシンクが斜めになると後々面倒なので、元の熱伝導シート(青色)を剥して SoC・メモリ両方に SS-SG2M(灰色)を貼り付けました。 -
完成形
ヒートシンクの上に、2mm(SS-SG2M)・1mm(SST-TP02-M2 グレーパッド1)を重ねて載せています。
その上に、追加ヒートシンク SST-TP02-M2 を載せて、付属のシリコンゴムで固定しています。
結果
動画再生を行うと、30分経たずにコアの2つが80度を超えます。
ただ、残り2コアは77度だったのでクロックダウンはしませんでした。
※Passive Trip Point が 79度に設定されているため、平均80度を超えるあたりからクロックダウンし始めます。
動画再生を止めると、温度上昇の速度は緩やかになり、5分を経過した頃から徐々に温度が降下し始めました。
4コア平均で70度後半(80度近く)を行ったり来たり・・・です。
効果はありますが、ガンガン使う用途には向きません。
あくまでオフィスワーク向き、且つ長時間作業には不向きです(夏場は特に)。
長時間作業、あるいは常時通電利用する場合は、冷却方法を考慮する必要があります。
省エネPCとしての据え置き用途なら、金属ラックに熱伝導シートで貼り付けるのも有効でしょう。
いずれにせよ、利用場面を選ぶPCです。
総括
ファンレスだとオリオスペックみたいな構造でないと難しいかもしれません。
確かに、前回はブロックPCにしてしまいましたから。
2018.9.1 追記
軽い作業ならCPUコア温度は65度前後で安定しています。
※室温30度で測定(送風なし)