Allwinner SoC “H3” の上限温度を確認する

目次

プロセッサの許容温度

SBC(シングル・ボード・コンピュータ)を4つ所有しています。

  • Raspberry Pi 3 Model B
  • Banana Pi M1 Classic
  • NanoPi NEO 512MB
  • Orange Pi One

この内、NanoPi NEO で DNSサーバ(dnsmasq) を構築しています。
DNSサーバですので常時稼働が基本ですが、これからの時期は温度が心配です。

現在の CPU・SoC にはサーマルスロットリング機能があるため、いきなり破損ということはないと思いますが、私が所有している SBC のケースは全てプラスチック or アクリルなどの素材のため変形や溶けたりするのが心配です。

そうは言っても、ARM 系 SoC には Intel CPU 製品の仕様情報 のような体系だったページがないため、Intel CPU で言うところの Tjunction を確認するべく調べてみました。

Tjunction

Tjunction はサーマルスロットリングの On/Off の閾値です。
この値を超えると、サーマルスロットリングが有効になり(温度を下げるために減速し)ます。
そして、それでも温度が安全圏に戻らない場合、CPU は自動的にシャットダウン(停止)します。

base on インテル® プロセッサーの温度に関するよくある質問
最終改訂日 2019/02/19

  • Tcase: 熱拡散機の中心に埋め込まれた熱電対を用いた温度測定。
  • Tjunction: コア温度と同義。

Tjunction Max は、サーマルスロットルが作動する前にコアが到達できる最大温度です。

プロセッサー には、温度保護、スロットル、自動シャットダウンの2つのモードがあります。
コアが設定されたスロットル温度を超えると、そのポイントの下に温度を戻すために電力を削減し始めます。
スロットル温度は、プロセッサと BIOS の設定によって異なります。
サーマルソリューションの故障やアセンブリの不正確な状態など、スロットルが温度を下げられないような条件の場合、CPU は自動的にシャットダウンして、恒久的な損傷を防ぎます。

H3 の許容温度

NanoPi NEO・Orange Pi One の SoC は共通(Allwinner H3)です 。
※ちなみに、Banana Pi M1 Classic に搭載されている Allwinner A20 はかなり低温度で安定稼働しています(パフォーマンスも良くないですが)。

データシート

データシートは V1.0・V1.1・V1.2 の3版あり、最新は 2015年版です。

base on H3 - linux-sunxi.org

Documentation
File:Allwinner H3 Datasheet V1.2.pdf - 614 pages, 7MB, 2015-04-23

base on File:Allwinner H3 Datasheet V1.2.pdf - linux-sunxi.org

9.1. Absolute Maximum Ratings
Absolute Maximum Ratings are those values beyond which damage to the device may occur.
Functional operation of the device at these or any other conditions beyond those indicated in the operational sections of this standard may damage to the device.

Symbol Parameter Min Max Unit
TSTG Storage Temperature -40 125 °C


9.1. 絶対最大定格
絶対最大定格はそれを超えるとデバイスが損傷する可能性がある値です。
この規格の操作の項に示されているものを超えるこれらまたはその他の条件でのデバイスの機能動作は、デバイスに損傷を与える可能性があります。


9.2. Recommended Operating Conditions
All H3 modules are used under the operating Conditions contained in Table 9-2.

Symbol Parameter Min Type Max Unit
Ta Ambient Operating Temperature -20 - +70 °C


9.1. 推奨動作条件
すべてのH3モジュールは、表9-2に含まれる動作条件下で使用されます。

上限 70度

上記「9.1. 推奨動作条件」にあるように(ケースとの兼ね合いもあり)70度未満で使うのが良さそうです。

測定

SoC の温度は下記コマンドで確認できます。

# temp=$(cat /sys/class/thermal/thermal_zone0/temp); echo $((temp / 1000))
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※小数点以下は切り捨てられます。