ついにWindowsが脱32bitへ

1995年に Windows 95 が発売されて以降、パソコン OS のデファクトスタンダードとなった Windows。

ちなみに、Windows 95 の一つ前のバージョンに(Windows 3.1 の機能追加版となる)Windows for Workgroup 3.11 なる製品が存在します
これには、インターネット接続機能などが提供されていたのですが、日本では未発売だったため(インターネット接続機能を標準搭載した初の Windows として)Windows 95 が爆発的にヒットしました。

あれから25年。
ついに、長い間 32bit・64bit 両方を提供してきた Microsoft が、32bit を段階的に終了していく方針を固めました。

マイクロソフト、「Windows 10」で32ビットシステムのサポートを段階的に終了へ動き - ZDNet Japan
2020-05-14 12:40
Microsoftは「Windows 10 May 2020 Update」(「Windows 10 2004」)から、同製品がサポートする最小システム要件に変更を加えるという。この変更は既存のPCに対してではなく、OEM販売される新製品にのみ適用されるようだ。

話題の Windows 10(2004)は、今月リリースされた最新版となります。 ※日本では 2020/5/28 リリース。

Windows 10 には、年2回の大型アップデートが提供されます。
※それらについては下記記事にまとめていますので宜しければご覧ください。

Windows 10 はマイナーバージョン毎にライフサイクルが異なる – あらいラボ

原本を確認すると、もう少し丁寧に記載がありました。

https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/minimum-hardware-requirements-overview

3.1 Processor

  • Beginning with Windows 10, version 2004, all new Windows 10 systems will be required to use 64-bit builds and Microsoft will no longer release 32-bit builds for OEM distribution. This does not impact 32-bit customer systems that are manufactured with earlier versions of Windows 10;
    Microsoft remains committed to providing feature and security updates on these devices, including continued 32-bit media availability in non-OEM channels to support various upgrade installation scenarios.

3.1 プロセッサ(CPU)

  • Windows 10バージョン2004以降、新しいWindows 10システムはすべて64ビットビルドを使用する必要があり、MicrosoftはOEM配布用の32ビットビルドをリリースしなくなりました。これは、以前のバージョンのWindows 10で製造された32ビットのお客様のシステムには影響しません。
    マイクロソフトは、さまざまなアップグレードインストールシナリオをサポートするための非OEMチャネルでの継続的な32ビットメディアの可用性など、これらのデバイスで機能とセキュリティの更新を提供することに引き続き取り組んでいます。

Windows の今後の方針を簡単に整理すると、以下のようになります。

  • 販売される PC は、今後全て 64bit 版 Windows がプレインストールされる
  • 32bit 版 Windows の提供は引き続き行われる(Microsoft Webサイトでの ISO イメージ配布等)
  • 32bit 版 Windows のセキュリティやアップデートは引き続き行われる

以前、何度か 32bit OS やハードウェアについて当ブログでも投稿していますが、特に OS・ソフトウェアに絞って記事を書いてのは下記2つでしょう。

私の主観ですが、Windows は過去の資産である Visual Basic などで書かれたシステムを温存するために、ずっと 32bit を提供し続けるのではないか、と思っていました。

ですので、今回の発表は少なからず驚きました。

Linux 界隈では、RHEL・CentOS や Ubuntu など主要なディストリビューションが脱 32bit へ舵を切る中で、Windows も同様に 64bit 化への道を模索し始めました。

とはいえ、さほど焦りを感じないのは私だけではないはずです。

というのも、Windows には WOW64 があるからです。

base on WOW64(ワウ64、Windows 32-bit On Windows 64-bit)

WOW64(ワウ64、Windows 32-bit On Windows 64-bit)とは、64ビット (x64およびIA-64) 版のMicrosoft WindowsにおいてWin32アプリケーションを実行する、エミュレーションレイヤー・サブシステムである。

この WOW64 が秀逸で、大体の企業において Windows は 64bit に移行していても、Office は 32bit 版を購入し続けています。
※Linux とは異なり、Windows では OS が 64bit でも、ソフトウェアは 32bit・64bit の両方をインストール・実行できるのです。

本当の意味で Windows が脱 32bit を果たすのは、何十年先になるのでしょうか。