CentOSのEoLは短縮され、CentOS Streamへ

先日(12/8 現地時間)、CentOS が CentOS Stream へ移行することが発表されました。
また、それに伴い、現在の最新バージョンである CentOS 8 のサポート期間の変更も通知されました。

CentOS サポート期間の変更と、CentOS Stream への移行の経緯についてまとめています。

目次

CentOS 8 EoL

  • EoL(End of Life / メンテナンス終了日 / サポート期間)
    2021年12月末

CentOS 8 のサポート期間が、2029年 5月から 2021年12月末 へ変更されました。
今年末までのサポートととなるため、既に CentOS 8 に移行済みの場合は

  • そのまま CentOS Stream へ行くのか
  • 別 OS へ乗り換えるのか

を、後 1年で考える必要があります。

とは言え、CentOS 8 のリリースは 2019年 5月なので、約半年の間に早々とバージョンアップした環境のみが影響を受けそうです。

ちなみに CentOS 7 の場合は 2024年 6月までのサポートなので、しばらく考える時間があります。

以下、CentOS ブログの記事を転載します。
※分かりやすいように、原文の下に和訳を入れています。

base on CentOS Linux 8, as a rebuild of RHEL 8, will end at the end of 2021. CentOS Stream continues after that date, serving as the upstream (development) branch of Red Hat Enterprise Linux.
Tuesday , 8, December 2020
The future of the CentOS Project is CentOS Stream, and over the next year we’ll be shifting focus from CentOS Linux, the rebuild of Red Hat Enterprise Linux (RHEL), to CentOS Stream, which tracks just ahead of a current RHEL release.

CentOSプロジェクトの将来はCentOSStreamであり、来年には、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の再構築であるCentOS Linuxから、現在のRHELリリースの直前に追跡するCentOSStreamに焦点を移します。

CentOS Linux 8, as a rebuild of RHEL 8, will end at the end of 2021.

CentOS Linux 8は、RHEL 8の再構築として、2021年末に終了します。

なお、公式 Wiki にはまだ記載がありませんが、続投(CentOS 9 のリリース)も無い模様です。

FAQ/General - CentOS Wiki

CentOS Stream

CentOS の後継となる CentOS Stream ですが、これは CentOS ブログの別ページに記載がありました。

こちらにも、分かりやすいように、原文の下に和訳を入れています。

base on Balancing the needs around the CentOS platform – Blog.CentOS.org
Saturday , 19, December 2020
Red Hat made a hard decision and in 2003 split Red Hat Linux into Red Hat Enterprise Linux (RHEL) and Fedora Linux.

Red Hat は難しい決断を下し、2003年に Red Hat Linux を RedHat Enterprise Linux(RHEL)と Fedora Linux に分割しました。

Essentially, Red Hat is filling the development and contribution gap that exists between Fedora and RHEL by shifting the place of CentOS from just downstream of RHEL to just upstream of RHEL.

基本的に、Red Hatは、CentOS の場所を RHEL の "ダウンストリーム" から RHEL の "アップストリーム" にシフトすることにより、Fedora と RHEL の間に存在する開発と貢献のギャップを埋めています。

While CentOS Stream would be open to contribution in a way that it never had been before, it would stand the risk of being somewhat different than CentOS Linux has been.

CentOS Stream は、これまでにない方法で貢献を受け入れることができますが、CentOS Linux とは多少異なるリスクがあります。

上記ブログでは CentOS Linux とは多少異なるリスクがあります。 とありますが、ここでのリスクとは「ローリングリリース」に対するものと思われます。

従来の CentOS が RHEL の「固定リリース方式」に追従するディストリビューションであったのに対して、CentOS Stream は「ローリングリリース方式」のディストリビューションになります。

CentOS Stream は初見だったんですが、既に ISO も取得できます。

Index of /pub/Linux/CentOS/8-stream

ローリング・リリースモデル

ローリング・リリースは、固定リリース方式の対義語として使われます。

従来の CentOS(RHEL)や Debian・Ubuntu は、各々バージョン番号が振られています。
当ブログでよく紹介している OS も固定リリース方式を採用しています。

  • 固定リリース方式を採用している主な OS
    • CentOS, RHEL
      バージョン 7, 8 などの番号が振られており(8 以外は)各々 10年のサポートサイクルがあります。
    • Debian
      バージョン 10, 11 などの番号が振られており、各々 5年のサポートサイクルがあります。
    • Ubuntu
      カレンダーバージョニングとなっており、LTS(長期サポート版)は 18.04, 20.04 などリリース年月がバージョン名となります。
      なお、LTS には 5年のサポートサイクルがあります。

これに比べて、ローリング・リリース方式では、明確なバージョン番号がありません。
そのため、バージョン番号に付随するリリース日もありません。

バージョンアップは、各パッケージ毎に行われます。

もちろん、インストール用の ISO は公開されていますが、これは ISO 公開時点の最新パッケージの集合体という感じです。
指定バージョンに合わせると言うより、インストール用(環境構築用)の ISO という位置づけです。

ローリング・リリース方式の課題

上述のように(従来の固定リリース方式とは異なり)、システムに導入されている各パッケージが 各々最新に維持される ような仕組みとなります。

ローリング・リリース方式へ移行すると、何が困るかと言うと バージョン番号で固定されない というところです。

クライアント PC だと、これは嬉しい場合もあります。
でも、サーバだとどうでしょう?

サーバは、常に同じ動作をして同じ結果を返すことが求められます。
導入パッケージが単独でアップデートされることは望むところではないのです。
(パッケージが単独でバージョンアップされると、検証が間に合いませんので)。

今まで CentOS を使っているユーザが CentOS に期待するものは、大抵の場合「RHEL の複製」としての立ち位置でしょう。

RHEL・CentOS が日本のサーバ市場で過半数のシェアを得た理由は、ひとえに固定リリース方式で 10年のサポートサイクルを持ち、一度構築すれば長く使えることに他ならないのですから。

今後の同行

CentOS と同じ路線の Scientific Linux(サイエンティフィック・リナックス)などの動向が気になります。
Scientific Linux が従来の CentOS 路線を引き継ぐとなると、多くのユーザが流れそうです。
かつて RHEL 6 の際、CentOS -> Scientific Linux に流れたように。

記憶に新しいところだと、Scientific Linux が CentOS に 4ヶ月も先行してリリースされました。

2010/11 : RHEL 6
2011/07 : CentOS 6
2011/03 : Scientific Linux

また、RHEL の複製ではありませんが、競合である Oracle Linux(オラクル・リナックス)などの商用製品の同行も見逃せません。

今後も注視していきたいです。