NASアプライアンスOSが改名していた

今まで何度か NAS 構築に特化した OS をご紹介してきました。

ご紹介している NAS アプライアンス OS は全て OSS となっており、気軽に試すことが可能です。
また、全て Web 管理画面を持っているので、管理コストの軽減が期待できます。

とはいっても、量販店で手軽に NAS が買える上、いずれにも Web 管理画面があるので、管理コストを抑えるという側面での訴求力は弱めです。

NAS を自前で構築する一番のメリットは、Web 画面から管理できる NAS を PC で簡単構築できるの一点でしょう。

つまり、安価に高性能 NAS を構築できること、そして、汎用品で NAS 本体をパワーアップできる点でしょう。

NAS

NAS は Network Attached Storage の略で、ファイル共有に特化した機器になります。
ファイルサーバとの違いは、全ての運用作業を Web 管理画面から行える点です。

OSS 一覧

名称そのままの OS も含めて表にしています。

OSS Name Base OS 以前の名称 備考
OpenMediaVault Debian
NethServer CentOS
Rockstor CentOS stableチャンネルは有料
TrueNAS CORE FreeBSD FreeNAS
XigmaNAS FreeBSD NAS4Free

OpenMediaVault

当ブログでご紹介している NAS アプライアンスの中で唯一の Debian ベースとなります。

手堅くバージョンアップしています。
ただ、EOL(End-Of-Life)も早めな感じでなので、業務利用の際は、注意が必要かもしれません。

Releases — openmediavault 5.x.y documentation

openmediavault historical releases

Version Codename Base Distro Status Date Released
3.0 Erasmus Debian 8 EOL Jun 2016
4.0 Arrakis Debian 9 EOL Apr 2018
5.0 Usul Debian 10 Stable Mar 2020
6.0 Shaitan Debian 1x In Development est. Q2/2021

サポートするファイルシステムは、元 OS に準じます。
UFS のマウントは可能なんですね。これで ZFS もマウントできると個人的に助かるんですが...。

Filesystems — openmediavault 5.x.y documentation

openmediavault supported filesystems

Type Format Mount
ext4 yes yes
ext3 yes yes
jfs yes yes
xfs yes yes
btrfs yes yes
zfs no no
ntfs no yes
hfsplus no yes
ufs no yes
vfat no yes

NethServer

CentOS 7 ベースの NAS アプライアンス OS です。

今のところ CentOS 8 には対応していません。

CentOS 8 は、急遽 EOL が今年末までに変更されて物議を醸しているので、NethServer 8 は出なさそうですね。

CentOSのEoLは短縮され、CentOS Streamへ – あららぼ

Web 管理画面は、玄人好みのカチッとした感じです。
知らない人が画面をパッと見たら「なんかすごいかも」と感じてくれそうです(笑)。

なお、画面イメージは https://www.nethserver.org/screenshots/ にあります。

Rockstor

CentOS ベースで、Btrfs をサポートする NAS アプライアンスです。
※なお Rockstor では、Btrfs は ルートファイルシステムに対してのみサポートされています。

同じ CentOS ベースですが、Web 管理画面が NethServer よりグラフィカルで苦手な人が少なそうな UI です。
(NethServer のほうが文字多めな感じ)。

TrueNAS CORE

FreeBSD をベースとする NAS アプライアンスです。
Linux ではなく BSD のため、サポートするファイルシステムが異なるのが一番の特徴でしょうか。
※ファイルシステムは ZFS, UFS をサポート。

FreeNAS の後継にあたりますが(TrueNAS へ統合の際)TrueNAS CORE へと名称変更しています。
※TrueNAS はプロダクトとして存在したので、TrueNAS CORE となりました)。

管理画面の UI は洗練されていますが、後述する XigmaNAS と比べると、最小要件は多く要求される傾向があります。

とはいえ、カーネルバージョンは異なっても同じ FreeBSD ベースのため、同一環境ではそこまでの差は出ないでしょう。
(XigmaNAS の最小要件が低めなのは、管理 UI がシンプルであることに起因すると思われます)。

base on TrueNAS CORE Hardware Guide | TrueNAS Documentation Hub

A minimum of 8 GB of RAM is required for basic TrueNAS operations with up to eight drives.
An additional 1GB per additional drive after eight will benefit most use cases.

XigmaNAS

上述の TrueNAS CORE 同様に、FreeBSD をベースとする NAS アプライアンスです。
XigmaNAS は、TrueNAS CORE が FreeNAS だった頃にフォークされたプロジェクトになります。
(そして、その頃 XigmaNAS は NAS4Free と呼ばれていました)。

こちらも、TrueNAS CORE とベース OS が同じため、ファイルシステムに ZFS, UFS をサポートしてます。
機能も遜色ありませんが、XigmaNAS には TrueNAS CORE には付いていない iSCSI イニシエータ(iSCSI ホスト)機能があります。

base on documentation:setup_and_user_guide:hardware_requirements [XigmaNAS]

Multicore 64-bit* processor
2GB of RAM is the absolute minimum required for running swapless.
For using ZFS, we do recommend an absolute minimum of 8GB RAM for greater system performance.