N/W越しストレージのパフォーマンス改善を計画する

現状、自宅のストレージ環境は Gigabit(1000BASE-T)をベースにしています。
そのため、場合によっては遅く感じることがあります。
※特に、仮想環境の VM バックアップなど(1環境で 10GB 以上あるので...)。

そこで、N/W 環境を含めて改善計画を立てることにしました。

現状

今、自宅のファイル共有環境は3分割されています。

  1. 安定性重視
    NAS

    • NETGEAR ReadyNAS 316
  2. 一時保存用
    ファイルサーバ

    • Samba
  3. ユーザファイル専用
    オンラインストレージ

    • NextCloud Pi

NAS

  • NETGEAR ReadyNAS 316
    以下、RN316 と略記。

安定性重視ということで NAS を所有しています。
かつては、ファイルサーバを自宅運用していましたが(多忙になったりして)プライベートな時間が取れなくなると、運用をサボってバックアップがおろそかになったり、故障してもすぐに復旧できなかったりしたからです。
そして何よりも PC サーバのようにいじらないから、という理由で NAS にしています。
元が PC だと、手持ちの機材がないときに(ファイルサーバ環境を潰して)再利用してしまったりすることが何度かあったので、それ防止の意味合いが強いです。

NAS はアプライアンス(特定用途向けの製品)なので、できることが PC に比べると制限されますが、そうはいっても最近の NAS 製品は(アドオンで機能追加ができるので)不自由を感じることは少ないでしょう。

ファイルサーバ

  • Banana Pi M1 Classic (Armbian) + Samba

当時、所有していた SBC(シングルボードコンピュータ)の中で、Gigabit NIC 搭載機が当機種(Banana Pi M1 Classic)だけだったので USB-HDD を接続して、ファイルサーバとして運用しています。

ただ、Banana Pi M1 Classic は USB 2.0 ベースのため、パフォーマンスは限定的です。
※Gigabit NIC は(Raspberry Pi 3 Model B+ の様に)USB 2.0 ブリッジで、且つ USB ポートも USB 2.0 のみです。

Armbian(Debian フォークのため)は NAS に比べると、起動が速いです。
思い立ったらパッと使えるので、常時起動していない環境だと重宝するでしょう。
※Ready NAS 316 は起動にそこそこかかる。

オンラインストレージ

  • Raspberry Pi 3 Model B (Raspberry Pi OS) + NextCloud Pi

常時起動のオンラインストレージが欲しかったとき、手元にあった Raspberry Pi 3 Model B で構築しました。
Raspberry Pi 3 Model B は、少し古めの SBC(シングルボードコンピュータ)のため、スペック的には期待できません。
※型番としては新しいですが、Raspberry Pi シリーズは安定志向が強い(性能を重視していない)ので、スペック低めです。

計画案

少し前から話題のマルチギガビット・イーサネットを軸に改善することにしました。

なお、マルチギガビットとは 2.5Gbps(2.5GBASE-T)・5Gbps(5GBASE-T)を指します。

base on マルチギガビット・イーサネット - Wikipedia

IEEE802.3bzの仕様としては

  • 100m以上の Cat5e ケーブル上で最大 2.5Gbit/s
  • 100m以上の Cat6 ケーブル上で最大 5Gbit/s
  • 100mまでの Cat5e ケーブル上で最大 5Gbit/s

NAS 本体側の強化

  • N/W 帯域を現状の 1Giga -> 2Giga へ UP させる

これは NAS 自体を強化するというわけではなく、N/W 帯域を太く(速く)する計画です。

RN316 には、Gigabit NIC が 2つ搭載されており、リンクアグリゲーション(2つを束ねて 2倍の帯域として利用する)に対応しています。

これを利用して、N/W 帯域を現状の 1Giga -> 2Giga へ UP させようという案です。

必要な機材

  • HUB
    2.5GBASE-T(2.5Gbps)以上の HUBで、且つ、リンクアグリゲーション対応の Gigabit HUB。
    ※この場合、リンクアグリゲーションに対応している NETGEAR のアンマネージプラススイッチがベター。 ※NAS と同メーカーなので。
  • NIC(PC側)
    2.5Gbps 以上の NIC。

必要な設定

NAS(RN316)と HUB で、リンクアグリゲーションの設定が必要。

NAS 新調

  • マルチギガビット対応 NAS を導入

2.5Gbps 以上の NIC 搭載機を(新たに速度重視のストレージとして)新規調達する案です。
※現状所有している NAS は Gigabit(1Gbps / 1000BASE-T)。

NAS

各社 2.5GBASE-T 対応 NAS をリリースしていますが、一番手軽なのは Synology でしょうか...。

必要な機材

  • NAS
    2.5GBASE-T(2.5Gbps)以上の NAS。

例えば、下記 QNAP 製のような USB アダプタを追加する形だと、安価に実現できそうです。

base on USB 3.2 Gen 1 to 5GbEアダプター | USB 3.2 Gen 1から5GbEネットワークに接続 | QNAP

QNA-UC5G1T USB 3.2 Gen 1 to 5GbEアダプターは、お使いのコンピューターやQNAP NASに追加のネットワークポートを追加することができます。

  • HUB
    2.5GBASE-T(2.5Gbps)以上の HUB。
  • NIC(PC側)
    2.5Gbps 以上の NIC。

PC NAS

いっそのこと、NAS を諦めて PC サーバへ戻るという選択肢もあります。
当ブログでも何度か取り上げていますが、アプライアンス OS も各種あります。

  • OpenMediaVault
  • FreeNAS
  • NAS4Free

PC で NAS を構築するメリットは何と言っても拡張性です。
極論、NIC を帰れば N/W 帯域を増やせますから。

元々の NAS 利用理由である「PC NAS だと、他の用途に使ってしまう」も、最近の仮想化技術の躍進凄まじく Hyper-V や ESXi などを使えば、事足りてしまう気がしています。

必要な機材

  • PC
    2.5GBASE-T(2.5Gbps)以上の NIC 搭載機。
  • HUB
    2.5GBASE-T(2.5Gbps)以上の HUBで、且つ、リンクアグリゲーション対応の Gigabit HUB。
  • NIC(PC側)
    2.5Gbps 以上の NIC。

必要な設定

設定と言うか、NAS OS のインストールと設定が必要ですね。

総括

どの案でも HUB と PC の NIC はアップグレードの必要があります。
そう考えると、どれを選んでもさほどに金額差がないような気が...してきています。

将来性を鑑みて 10G HUB を購入したいところですが、なかなか難しいので 2.5G か 5G 環境を挟んで運用することになりそうです。

注意すべき点は、どの速度でも HUB はカスケードで 1ポート減る・・・ということです。
5ポート HUB は避けたいですね。実質使えるのは(カスケード分を引いた)4ポートなので。

最低 8ポートの 2.5G HUB を探していきたいと思います。